小春日和 秋仕舞いと冬支度
この秋は晴天が続き、いろんなことができた。晴れると外で過ごす時間が長いせいか、秋を長く楽しんだ気がする。 秋仕舞いのまず始めは、すっかり軽くなった紫蘇やコスモスの柄(から:草木の幹や茎)の刈り取りだ。柄であり殻(から)でもあり、種を振りまいた後の空(から)だ。これらは木質部が多く、土にすき込むとゆっくりと時間をかけてよい肥料になっていく。「すき込む」は昔は鋤(すき)で耕したことが語源だが、今は豆トラ「ポチ」が活躍する。衝動買いして20年来の相棒だ。 春の花の球根や種を蒔くのも今だし、ブルーベリーや無花果(いちじく)の枝を剪定したり、「お礼肥」で今年の恵みに感謝したりするのもこの季節だ。これからやってくる時間を想像できる楽しい時間がゆったりと流れた。 それに比べて冬支度は忙しい。静的な秋仕舞いから、動的な冬支度への気持ちの切り替えスイッチ。それは、気温であったり、西から吹く風であったり、白い雲の奥に潜む灰色の雲であったり。おでんが食べたくなるのもそうだな。スイッチが入ると気が逸(はや)る。気が急(せ)く。 冬支度の始めはベーコン作り。11月が一番いい。そして次の冬のための薪割り。この二つは同時進行だ。チップはコクのある香りのするヒッコリーを使うのだが、薪割りをすると木っ端が出てくる。山桜や楢の木の木っ端をさらに小割にして水に浸し、火に焼(く)べる。途端にそれぞれの木の香りが漂う。ただしベーコン作りに焦りは禁物だ。ゆったりした時間がおいしく仕上げるのには肝心だ。山桜の薪は日向に置いておくだけでも、あの桜餅のような香りが漂い、息を吸い込むとなぜかくすぐったい気がする。山桜はベーコンには使わない。香りが強すぎるように感じるからだ。ベーコンよりたくさんの香辛料を使うソーセージには合うかな。 今年はデッキを作ることになり、雪が降る前に塗装を済ませ、整地をし、大工さんの体が空くのを待っている。猶予はあと1ヶ月か。付き合いのある建材屋に「木拾い」やプレカットをしてもらえるので、とても安上がりで、なにより、造作に関われるのはうれしい。 blue ...