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秋の恵み

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  朝、森はけっこうしっとりとしている。露が降りるからだ。夏の季語かと思っていたが、調べてみたら「露」は秋の真ん中あたりの季語。それが「霜」になり、やがて「雪」がやってくる。  この秋は紅葉が美しく、朝、昼、夕方と何度も眺めた。とりわけ、漆の木の葉は燃えるような赤を誇っていた。楓は同じ樹種でも、場所によって色が違っていて、隣り合って生えていても、色が違う個性に感心した。  落葉松は、たった1日だけよく晴れた日に葉が金色に光る。やがて色褪せ、落ちていく。運良くその金色を見られたら、いい時間が流れる。でも落葉松は白菜を栽培している農家泣かせだ。針のような茶色の葉が白菜の玉に入り込むと売り物にならないらしい。そんな白菜をたくさん頂くから、こちらは嬉しい。葉が入り込んでもおいしさに違いはない。「打ち豆」と一緒の味噌汁が出ると、一気に冬到来だ。  赤カブが好きで毎年甘酢に漬ける。赤く染まったのを囓ると、少し土の香りがするのがいい。今年は暑さが長引き、大きくなってしまったと聞いた。大きくなりすぎるとやはり売り物にならないからと、これもたくさん頂いた。  米農家の友人に頼まれ、愛車の軽トラダンプを貸した。粗糠(「あらぬか」籾殻のこと)を運ぶのに使うと言っていた。数日後、愛車はコシヒカリの新米を半俵を二つも積んで戻ってきた。(半俵「はんたら」30kg。もともとの1俵は60kgもある。昔の相撲取りが両脇に抱えている絵を見たことがある)  なんだか秋は貰ってばかりだ。  お返しに鶏の卵でもと思うのだが、今のところまだ1日2~5個しか産んでくれない。ちょこちょこ食べているのでなかなか貯まらない。でも、毎日産みたての卵を見つけるのは楽しい瞬間だ。もっとも鶏に言わせれば、「卵だって私たちからの貰い物だろう。」か。それでもけっこー。  いい時間を過ごした秋も、もう終わりだ。峠には雪が積もった。  秋の恵みとは、「時間」のことだと思った。決して食べ物ばかりでは、ない。