最初から手強い「一」、「イン」である。 「一」は、「よく使う順漢字2200」(徳広康代編著 三省堂)では、堂々の第2位である。(第1位は「日」)「イチ」「イツ」「ひと」「ひと・つ」それに撥音が加わり、けっこう難しい。人名になると、「はじめ」ちゃんや「かずこ」ちゃんも登場する。 1×1=1 九九は、暗唱して速算に役立てることを目的に作られたものだから、「×」は外される。「=」は「は(wa)」と意味が似ていて、数字8(ハチ ハ)にはない発音の「が」になったのだろうか。 「イチイチがイチ」では発音しにくい。「イツ」と唱えた時代もあった。九九が定まっていった過程には中国語の発音の影響があるから、「イーイチがイチ」もあったかもしれない。 どう教えるか考えていて、大事なことを忘れていたことに気づいた。 学習者の反応から学びが始まるということだ。そしてゴールに導くのだ。 1を「イチ」と読むことをその子は知っていたので、「イチイチがイチ」と読ませて、感想を聞いた。 C:「言いづらい。」 T:「インイチがイチ」は? C:「言いやすい。楽しい。」 T:「そう、言いやすいよね。」 等式とひらがなを書いた表を見ながら、手拍子でリズムを取って一気に「インクがク」までたどり着いた。「インクは赤。」と笑わせたら、喜んでくれた。あとは、レアリア(realia 生教材)やアレイ図を活用して、九九の音に意味を重ね合わせ、便利さを感じさせたい。 がんばろう。 「村の道ぶしん」 (作詞:葛原しげる 作曲:梁田貞 編曲:岡本敏明 玉川大学愛吟集より) 1 土をはこび 草を刈りて われらは励む われらの村の道ぶしん 村のために 国のために つくしたる われらの年寄りの 歩み安かれと 朝な夕な われらは励む われらの村の道ぶしん エンヤラホイ ヤレホイ ヤレホイ エンヤラホイ ヤレホイ ヤレホイ 2 力あわせ 心あわせ われらは励む われらの村の道ぶしん 村のために 国のために つとめなんわれらの幼児(おさなご)の 歩み安かれと 朝な夕な われらは励む われらの村の道ぶしん エンヤラホイ ヤレホイ ヤレホイ エンヤラホイ ヤレホイ ヤレホイ クマガイソウが背筋を伸ばし、誇らしげに咲いていた。熊は、いなかった。