菊芋
菊芋の葉が枯れて、収穫の時期を教えてくれた。 夏の間は、まっすぐに背を伸ばし、太陽めがけて黄色い花を咲き誇っていた。 今はもう背が曲がり、葉は枯れ始め、しみだらけだ。もうすぐ冬枯れだ。 1本だけ試し掘りをしてみた。慎重に、慎重に、鍬を振り下ろしてみた。 あった。菊芋だ。 芋という名が付けられてはいるが、キク科ヒマワリ属の多年草で、アメリカ原産だ。 このあたりは、酪農が盛んな地だったので、牛の飼料用として連れてこられ、安住の地を見 つけたのだろう。祖先は長い旅をしてきたはずだ。この土地を切り開いたKawatanian(川谷 の開拓者)みたいだ。 この菊芋も、ある年の夏、この森に黄色い花を咲かせた。そのままにしていたら、今では 「この世をば」と詠まんばかりに、猫の額ほどの森の畑の一大勢力だ。 生でも、漬物でも、煮てもおいしい。土の香りがするので、食べると不思議と懐かしくて ほっとする。糖尿病にも、塩分取り過ぎにもいいらしい。芋なのに、低カロリー。 腰が曲がっても、葉が枯れても、精一杯生きたから、美しいままだ。