春の宵

 なぜかそわそわしてしまう季節だ。

 気温はだいたい20℃くらい、湿度はできれば70パーセント前後だな。天気はもちろん晴れで、風は昼なら風力2の「軽風」か強くても3の「軟風」がいい。けれど、日没後だから風力1の「至軽風」でお願いします、風の神よ。

「宵」。夜のことではない。日没後から1時間後くらいの時間帯だ。

 達成感やその代償の疲労感、それに心残りも入り混じり、内省的になる時間だ。何かを信じたくなる。こんな時に勧誘されたら、ころっと信じてしまうかも。

 心の静まりと同期するように、西の稜線はだんだんと目に優しい色になり、紺か黒か区別がつかない。後で、記憶の色を色見本帳で「深縹(こきはなだ)だった。」だの「いや、濃藍(こいあい)かな。」だの名前を調べて過ごす時間も値千金だ。

   

   「春夜」 蘇軾(そしょく)

   春宵一刻直千金 ※原詩は「直」、現代でよく使われるのは「値」

   花有清香月有陰

   歌管楼台声細細

   鞦韆院落夜沈沈

      

 今宵は「森と暮らす漢詩」。でも筆が遅いので、すっかり夜になってしまった。

 蘇軾(そしょく)は「左遷の人」、そして、東坡肉(トンポーロー)を作った食いしん坊だ。  

 トンポーローには老酒もいいけれど、ビールもいいな。11℃がいいとビール園で教わったのは19の春だった。「宵」でなく「酔い」も値千金、飲み過ぎると支払いがね。

    

     「負けないで」 ZARD

   何が起きたってヘッチャラな顔して

   どうにかなるサとおどけてみせるの

   今宵はわたくしと一緒に踊りましょ

   今もそんなあなたが好きよ

   忘れないで 


 蘇軾は日本だと平安時代の終わり頃の人、ZARDは自分と同世代。みんな「宵」が好きだ。

  



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