師走 追われている?追っている?

 今日も穏やかな1日だった。昨夜は久しぶりに休肝日にして朝までぐっすり眠ろうとしたのだが、夜中、星の光に起こされた。いつもカーテンを閉じないので、晴れた夜はいつも「モチモチの木」の話のように、星は小楢の木の枝から輝き、その光が枕元に届く。しばらく眺め、また眠る。もう30年近く続く夜のひとときだ。暖かいのでまだトラツグミの凜とした声は聞こえてこない。
 昨日は友人がやっている蕎麦屋に蕎麦の食べ納めに行った。1ヶ月前から新そばだったが「今日は特別の蕎麦を食わせる。」といって蕎麦を出してくれた。この地で育てた蕎麦をつい先日収穫し、そして前日に挽き、今朝打った蕎麦だ。これからやってくる季節に抗うように淡い緑で、それは春の芽吹きの色だった。
 一口啜ると「ありがたい。」と感じた。禊ぎ(みそぎ)のような味だった。心と体が清められた。厳しい冬がやってくるので、店の再開は4月だ。土日だけ開く蕎麦屋だ。ふるまいで猪と高原大根を炊いた汁を出してくれた。冬の味がした。
 休日には朝から鶏小屋の入り口を開きっぱなしにし、20羽を畑や庭で自由にさせている。芹やコンフリーの葉はすっかり丸坊主。誰に教えられたわけでもないのに、いっちょまえに足で土を掘り起こし、みみずを探している。砂浴びを楽しむやつもいる。自由な生き方だ。ぶっといみみずも丸呑みだ。
 12月は忙しい。坊さんも走るらしい。でも、時間の流れは一定だ。「何時までにこれをして、つぎはあれをして。そしてそして、」時間に追われるのではなく、時間を追っているのは人だ。あれこれやらなければならないと自分をしばる生き方。 元日が「晴れ」とは限らない。雨でもいいし、雪でもいい。

 日の出とともに起き、日の入りとともに静かに過ごす。毎日吉日で、毎日大掃除の日で、毎日休養日で、昨日張り切ったから今日は一回休み。それでいい。
 


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