川は。
橋を渡るとき、いつも川の上流を見遣る。
源流となる湧き水や雨。水たまりの底の礫と礫の隙間から、細かな粒を踊らせながら川は生まれる。
「一跨ぎの滝」という幅の狭い滝は、弱々しい水音を聞き当てないと見落としてしまう。
名前も付いてない細い沢を何本か集めると、それでも流れは速くなり、水量を増して岩場を滑り落ちる。「熊の滑り台」と名付けた人はすごい感性だ。畏れと滑稽さが絶妙に合わさって、熊以外の森の動物では表し得ない。
流れがひと休みする静かな瀞(とろ)。この後、川はまた何本も小さな川を集めながら、中流となり、里や街を走り抜ける。これからの長旅に備えるかのような、穏やかな川面だ。
山や森から始まった川は、速さを変え、音を変え、方向を変え、色を変え、役割を変え、源流の面影さえ変えて、やがて下流と呼ばれ、海に辿り着く。
海辺の町の川は、あの森とは繋がっていない。それでも、上流を見遣る。
窓を開けてこれを書いていたら、肌寒くてカーディガンを羽織った。秋鮭が生まれ故郷に帰り着く季節はほんの一瞬で、すぐ流れて行く。
"Moon River"
Performed : Audrey Hepburn Music : Henry Mancini
Lyric : Johnny Mercer
Moon River, wider than a mile
I'm crossing you in style someday
Oh, Dream maker, you heart breaker
wherever you're going I'm going your way
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